| 『小さな命と大きな役目』A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ベアトリクス!!ここは自分に任せて!」 「いいえ!ここで退くわけにはいきません!将軍の名がすたります!」 城下町は今やあちこち炎に包まれ、手におえない。 「スタイナー、私は白魔法で怪我人を救出します!あなたは魔物を倒してください!」 「何を言っているのだベアトリクス!炎で何も見えないではないか!怪我人どころかお前の命が危ないのである!」 「・・・・・二度も別れの時がこようとは思いもしませんでした」 静かに剣をしまうベアトリクス。 「たとえそれがつかの間でも・・・、・・・・・たとえそれが永遠の別れになろうと、私は行きます!」 「・・・・今度こそは私も無事でいられるかわかりません・・・・。もし、・・・もしもう一度会えたら・・・」 「絶対に会えるのである。自分は前回の旅で、『信じれば願いはきっと叶う』と教えてもらったのである」 ベアトリクスはうなずく。 その顔には微笑みと涙が見えた。 「・・・・・・スタイナー、これを」 ベアトリクスはそっと顔に手を当て、ゆっくりと眼帯をはずした。 スタイナーはその両目をはじめて見た。 まぶたに、おそらく眼帯をつけることになった傷跡が、近くで見ないと解らないほどうっすらと残っている。 周りの炎で朱色に染まって見える眼帯を、スタイナーは受けとった。 「ベアトリクス、眼帯をはずすと少し弱々しいのである」 「・・・・・・それは侮辱と受け取ればいいのですか?」 「いや、いつにも増して美しいという意味なのである!」 ベアトリクスの頬を涙が伝った。 「スタイナー、・・・・本当にあなたは優しくて強いお方です!・・・どうか御健闘を」 「また会う時を楽しみに待っているのである!多くの住民が助かることを祈っているのである」 二人は涙を流しながらキスを交わした。 「それでは・・・また」 背中を向け、振り返りもせずにベアトリクスは炎に向かって去っていった。 「化け物ども!!このスタイナーが相手になるのである!どこからでもかかってくるのである!」 スタイナーは炎に向かって大声で叫ぶ。 しばらくすると、1000匹はゆうに超えるであろう、巨大なドラゴンが空を横切ってやってきた。 「・・・・・来たな、化け物ども!ショック!!!」 人間なら一瞬で死んでしまうほど凄まじいダメージを与えるはずのショックが、全く通じない。 「・・・とぉりゃぁ〜!思い知れ〜!このぉ〜〜〜っ!」 スタイナーは自分の身の危険も案じず、敵に向かって突っ込んでいく。 そのとき反撃のためドラゴンが吐いた炎で見渡す限り一面、一瞬にして炎で赤く染まった・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (スタイナーは今ごろ・・・) そう考えながら何度怪我人を見落としたことか。 「今はそんなことを考えている場合ではありません!とにかく急いで救出しなくては!」 服はボロボロ、腕も火傷だらけという身体ででも、ベアトリクスは走った。 「聖白魔法、ケアルガ!」 「早く逃げてください!」 同じことの繰り返し。きりがない。 それからしばらくたって、街のはずれにたどり着いた。 「聖白魔法、ケアルガ!!!」 「早く、早く逃げてください!リンドブルムに行けば・・・・・」 最後の一人を送った後、もうベアトリクスの力は尽きていた。 「諦めてはいけません!信じれば!・・・信じれば・・・・スタイナー、永遠の別れになりそうです」 「ローズ・・・・あなたが成長した姿を見れなくて残念でした」 ベアトリクスはその場に倒れこんだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ツヅキます☆ |